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風の歌を聴け

今日紹介したいのは、

村上春樹のデビュー作「風の歌を聴け」です。

とっても短い本なので、2時間もあれば全部読めちゃいますが、
正直、何も深読みしなければ、つまらない小説です。

すぐにわかりやすいストーリーが始まるわけでもなく、

村上春樹が、自分の思いついた言葉をただテキトーに書きとめているみたいな感じでした。

人によっては、とっても不親切な小説に感じられるかもしれません。

とにかく、伏線を散りばめて、問題を出して、
それで終わりなんです。


物語としては何も語られませんし、
基本的に何も起こらないのです。

ただ「僕」の毎日が淡々と過ぎて行くだけです。

劇的な出来事も避けられ、排除されていると言ってもいいくらいの内容です。

しかし!
深読みすれば、

確かにそこに物語が存在しています!

まるで、文字のない絵本のように、

自分自身がその物語を想像すればいいのです!


つまり!これは、なんか

ナゾ解きの小説ですね。

読者自身で考えてくださいよ!ってことです。


村上春樹は次のようなことをもうすでに文中に書いて説明しています。


「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」

「正直に語ることはひどくむずかしい。僕が正直になろうとすればするほど、
正確な言葉は闇の奥深くへと沈みこんでいく。」


「僕たちが認識しようと努めるものと、実際に認識するものの間には深い淵が横たわっている。
どんな長いものさしをもってしてもその深さを測りきることはできない。
僕がここに書きしめすことができるのは、ただのリストだ。…(略)…まん中に線が1本だけ引かれた一冊のただのノートだ。
僕はノートのまん中に1本の線を引き、左側にその間に得たものを書き出し、右側に失ったものを書いた。」


「僕」の「認識」は、「実際の出来事」と深い淵があって、

そのズレに気づいたけど、正直に語ることは難しくて、

正確な言葉は闇の奥深くへと沈みこんで、

結局深い淵を語れる完璧な文章なんて存在しなくて、

その淵を語り切れないうちは、「僕」は本当の絶望もできないんだ!

ってことでしょうか・・・

私が最も気になった、
そして好きな一説があります。

それは...


ハートフィールドの作品の
「火星の井戸」の引用で、
「風」の意味を暗示するような短編があります。

「ある日、宇宙を彷徨う一人の青年が井戸に潜った。
彼は宇宙の広大さに倦み、人知れぬ死を望んでいたのだ。
下に降りるにつれ、井戸は少しずつ心地よく感じられるようになり、奇妙な力が優しく彼の体を包み始めた。
風が彼に向かってそう囁いた。
「私のことは気にしなくていい。ただの風さ。もし君がそう呼びたければ火星人と呼んでもいい。悪い響きじゃないよ。もっとも、言葉なんて私には意味はないがね。」
「でも、しゃべってる。」
「私が? しゃべってるのは君さ。私は君の心にヒントを与えているだけだよ。」

このエピソードには、「井戸」と「風」という2つのキーワードが登場します。

そしてこの2つの語は対立的に扱われています。

このうち「井戸」のほうは、つまり精神分析的に想定された自我のことでしょうか・・・

「下に降りるにつれ・・・・・」という一文は、無意識の世界に降りていくときの安らぎの気分を表しているかもしれません。

一方、青年が井戸からふたたび地上に出たときに、語りかけてきた「風」とは、いわば「無意識の声」なのでしょうか・・・


もうねーとにかく、

考えれば考えるほど、実は深い小説だということなんですよ。

私は、そんなふうにいろいろと自分なりに解釈して、楽しみました。

だけど、結局は

村上春樹の言うように、

「完璧な文章などといったものは存在しない」

だから私も何一つ、うまく語りきれません...

Category : 小説
Posted by mariprajp on  | 0 comments  0 trackback

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